PMTCとは
歯のまわりには、たくさんの細菌がちょっとこすったぐらいでは容易に取れない頑丈な構造でくっついています。これを細菌のバイオフィルムといいます。
バイオフィルムは、普通の細菌のかたまりと違って殺菌剤や抗菌剤にも強く抵抗し、しかも常時毒素を出しています。
これは歯という代謝のない(細胞が更新されない)組織独特の問題でバイオフィルム感染症という名で呼ばれています。
専門家によるお口のお掃除は、しつこいバイオフィルムを定期的に破壊し、同時に歯石を除去し、ふたたび汚れが付きにくくする目的をもっています。
また、コーヒーやお茶などによる着色もきれいにします。
PMTCとは、プロフェッショナル(専門家による)メカニカル(機械的な)ツースクリーニング(歯のお掃除)のことで、歯科衛生士などの専門家が機械的に歯の表面に付着した汚れを除去することをいいます。
痛みも不快感もありません。健康のためではありますが、気持ちがよくなるから受診するという人も少なくありません。
PMTCの効果
定期的にPMTCを受ければ98%の確率でムシ歯を防ぐことができたというデータがあります。
また、PMTCを6年間継続的に行った場合、歯肉の退縮(下がり)も大幅に防ぐことができることがわかっています。
当院では、歯石除去とともに歯面の清掃と研磨を行っています。必要に応じて治療の合間に行うこともありますし、時間をとってお口全体のクリーニングならびにPMTCを行うこともあります。
また、定期検診では、お口の中のチェックと共にバイオフィルムの破壊・除去をPMTCにより行います。
PMTCは歯石除去や歯面清掃の連続的延長上にあるのでそれ自体の費用は設定しておりません。
通常の定期検診は保険で行っており、3割負担で2,500円程度になります。
また、タバコのヤニなど頑固な色素の汚れの除去をご希望の場合にはプロフィーフレックス(エアフロー)という器械による清掃処置もあります。(3,300円税込)
PMTCの流れ
さらには「パウダーメインテナンス」により歯面にやさしくバイオフィルムを除去することで一層の効果があります。
歯の汚れの種類
歯の表面に付着する汚れにはどのようなものがあるのでしょうか?
- 歯垢(プラーク)
歯垢は食べカスだと思われる人が多いのですが、実体は何億もの細菌のかたまりです。
お水や唾液には溶けず、歯の表面にべったりと粘着性を持って貼りついているので、ブクブクうがいでは落とすことはできません。 - 着色
コーヒー・紅茶・タバコのヤニなどの色素は、歯の表面に茶色く沈着していきます。
着色自体に害はありませんが、表面がざらつくことで歯垢がつきやすい環境になります。
また、歯みがきで除去できません。 - バイオフィルム
いったん歯垢ができると、細菌は活動を続けグルカンと呼ばれるネバネバした物質を作り出します。これが接着剤となって歯垢は広がり、歯の表面をフィルム状に覆っていくのです。このバイオフィルムの下で虫歯や歯周病の原因菌が活発に活動していきます。
このバイオフィルムは歯の表面にしっかりとくっついている為に、歯ブラシでは落とすことはできません。 - 歯石
歯垢の中の細菌が死んで、唾液の中のカルシウムと結合したものを歯石とよびます。
歯石はまさしく石のように硬いので、歯みがきでは落とすことができません。歯石がつくと歯の表面に凹凸を作るので、細菌はどんどんたまっていきます。
このような汚れを全てキレイに落とし、歯の表面にできた小さな凸凹をツルツルに磨き上げ、再び汚れや細菌が付着しないようにすることをPMTCと呼びます。
PMTCを行なうと、お口の中の細菌数はぐっと減少します。
つまり、お口の中の病気である虫歯やの周病を未然に防ぐには、プロのお掃除屋さん(歯科衛生士)による、大掃除(PMTC)が不可欠なのです。