歯周病治療の新しい可能性

最近、歯周病治療に光を用いた殺菌方法(LAD治療)が次々と開発されています。

東北大学の佐々木啓一教授らの研究グループは、ラジカル殺菌歯周病治療器の臨床的有効性を実証することに成功したようです。

消毒薬として知られる3%過酸化水素に、青色の光を照射することで発生するヒドロキシルラジカル(活性酸素の一種)による殺菌法を考案し、従来の治療法よりも中等度・重度の歯周炎治療において有効であり、歯周病菌を減少させて歯周ポケットを浅くする効果に優れることを実証しました。

リキタケ歯科医院でも、FotoSan630を用いた光殺菌治療を行っており、歯周病の患者さんの治療に効果を上げています。

光殺菌治療は、感染部分に光感受性物質を注入し、光を照射することで殺菌する安全な治療法です。
FotoSan630は日本ではまだ承認されていない医療機器ですが、欧米では抗生物質を使わない体に優しい安全な治療法としてLAD治療が急速に普及しており、10年以上の実績があります。
当院ではその安全性と効果を確認の上、歯科医師の裁量のもと治療に取り入れています。

医科では1990年ごろから光やレーザーを用いて、肺、食道、胃、子宮頸部などの早期がんに対して治療を行う光線力学療法(PDT=Photo-Dynamic Therapy)という治療法があります。

歯科では同様のメカニズムで数年前から欧米を中心に、抗生物質を使わない体に優しい安全な治療法として光殺菌治療が急速に普及しています。光感受性ジェルを細菌に浸透させて光で殺菌する治療法です。

  1. 痛みはありません。
  2. あらゆる細菌に効果を示します。
  3. お薬(抗生物質)を使わないため耐性菌が発生しません。
  4. 副作用はなく、繰り返して治療に利用できます。

作用機序としては

  1. 光感受性ジェルが細菌の細胞壁や膜に取り込まれる。
  2. 特定の波長の光が照射されると、光感受性ジェルがエネルギーを受け取り「活性酸素」を大量に発生する。
  3. 「活性酸素」が細菌の細胞壁や膜だけを破壊し、殺菌する。

今後は、東北大学の開発されたシステムに注目しつつ、歯周病患者さんの治療にに少しでも貢献できるようにしていきたいと考えます。

論文情報:【Scientific Reports】Adjunctive antimicrobial chemotherapy based on hydrogen peroxide photolysis for nonsurgical treatment of moderate to severe periodontitis: a randomized controlled trial