日本における新薬の承認には時間と費用がかかることは皆さんもよくご存知だと思います。
これまで歯周病による骨の欠損を再生する薬で日本における承認を取ったものはありませんでした。アイデアがあっても承認までの時間と費用をリスクを持って負担してくれ、承認されても歯科臨床の市場で元が取れるかどうかを計算できる企業がないことも一因と思います。日本の歯科関連企業は、欧米などで開発されたものの販売権をそのまま買い取って日本で売っていくというのがこれまでの流れだったように感じます。
その中で16年という長い時間をかけ「骨太」と感じさせる研究・開発から販売までこぎつけたのが、歯周組織再生剤「リグロス」であり、大阪大学の村上伸也教授と科研薬品です。
先日、1日をかけて村上教授のお話を聞かせていただきましたが、まさしくNHKのプロジェクトXに出てきそうな長大なストーリーで感銘を受けました。
自分も大学院から留学時まで研究に携わっていた身なので、あれだけのチャンピオンデータを連続してそろえ、さらに新薬の承認までこぎつける奇跡的業績に敬服するばかりでした。
これで先行して海外から入ってきていた「ブタさん」由来の薬に頼らなくてもいい日も近いのだと思います。