毎日歯ブラシをしているのに虫歯になるのはなぜ?
こんな疑問を持つ方は次の写真を見てください。
写真のように歯の表面には小さな溝が多くあります。

この溝の部分の断面を拡大してみると

米国歯科医師会雑誌,1984
左上に写っているのが標準的な歯ブラシの毛先になります。
その右下にある歯の溝の狭さと深さを見てください。
歯ブラシでは歯の溝の中までは磨けないことが解ると思います。
しかしながら、むし歯菌は溝の中まで侵入していくことができます。
いくら頑張って歯ブラシをしていても、溝の深いところに潜んだむし歯菌は取り除けないことになります。
特に萌出したばかりの幼弱な歯の場合は、この溝が深いため要注意です。
小児歯科において「シーラント」により、暫間的に溝をふさぐ処置をすることは、
溝の深部に潜んだむし歯菌の活動を止めることになり、虫歯予防に効果的です。
大人の方の歯に対しては、このような溝だけでなく咬耗で削れた面や歯肉退縮で露出した根面への対応も必要になります。
そのための予防方法で、現在、確立されているのが「フッ素の活用」です。
【フッ素の効果】
- 石灰化をうながす
歯の表面では唾液成分などにより絶えず奪回と再石灰化が起きていますが、そこにフッ素が介在することで石灰化を促進するとともに、虫歯に強いフルオロアパタイトを生成することにもなります。
- 歯垢の中の酸の生成を抑える
歯の表面に付着してくる歯垢の中の細菌は、糖質を分解して酸を生成します。フッ素はこの最近の活動を抑制して酸の生成を抑制します。
【フッ素配合歯磨き剤の活用】
市販のチューブタイプの歯磨き剤の90%以上にモノフルオロリン酸やフッ化ナトリウムなどの形でフッ化物が配合されています。日本でのフッ素濃度は上限が1450ppmと決められており多くの歯磨き剤がその上限に近い濃度のフッ素を含んでいます。
【歯磨き剤の適正な使用量】
歯科の4学会が共同で歯磨剤の使用方法をまとめたものがあります。

口腔保険協会資料より
【フッ素を口の中に残すための工夫】
歯磨きの後、フッ素をお口の中に長く残すことで効果をより高めることができます。
1)歯磨きの後、歯磨き剤を吐き出した後で、10ml程度の少ない水で5秒程度1回だけすすぐことを勧めます。さらに、歯磨き後の1時間は飲食しないことも効果があります。
2)就寝前に使用することがおすすめです。就寝中は唾液の分泌が少ないことから、細菌が繁殖しやすい一方、フッ素が口の中に長く滞留できます。
その他、フッ化物による虫歯予防に関してはホームページ内の記事も参照してください。
フッ素による虫歯予防 | 池袋の歯医者 リキタケ歯科医院【公式】