子供のブラッシング
歯みがきは口の中の健康を保つためにはとても重要なことです。
子供によって個人差はありますが次のことを目安にして下さい。
上の歯が生え始めたら
水を含ませたガーゼや脱脂綿などを指先に巻き付けて、歯の表面の汚れをやさしく拭き取って下さい。
このころは手にしたものを何でも口に入れたがるので、歯ブラシを遊びの中に取り入れ、歯ブラシに慣れさせましょう。 また、お母さんは口の中を見る習慣を付けましょう。
1才になったら
少なくとも、朝と晩の2回くらいは小さなやわらかい歯ブラシを使って、やさしく歯面の汚れを取ってあげましょう。
1才6ヶ月~2才頃
自我がだいぶ強くなり、一人で歯みがきをしたがります。不十分ですから必ず後で見てあげましょう。歯ブラシは子供の口の大きさにあったものを選んで下さい。
3才過ぎたら
不十分ながら一人でみがけるようになります。しっかりみがけるよう訓練をはじめましょう。
乳歯の虫歯が急増する時期ですので、必ずお母さんが仕上げみがきを行って下さい。
みがいた後は忘れずにほめてあげましょう。
正しい歯みがきは習慣づけてしまえば少しも面倒なことはありません。お子様のためにも、しっかりと歯みがきを心がけましょう。
おやつの与え方
幼児のおやつは、通常の食事でとりきれない栄養素を補うという目的があります。
また情操を豊かにします。あまり神経質になり、とても楽しみであるおやつを取り上げてしまうのは、子供にとって悲しいことです。
おやつはどのようにあげればいいか?
つねにおやつを食べられるようにしてしまうと、3回の食事の時におなかいっぱいで嫌いな食べ物をさけるようになります。
好き嫌いがひどくなり、体にも悪い影響をあたえてしまいます。
どんなものを選べばよいのか
おやつといえば、ケーキやジュース等の甘いもの。
子供にとって、とても魅力のあるたべものを連想します。
甘いものが絶対いけないというわけではありませんが、できれば砂糖ではなく、ハチミツや果糖から甘みをとるようにしましょう。
たとえばジュースにしても果汁100%のものであれば砂糖は入っていません。
また、脂肪分が多い、歯にくっつきやすい、合成着色料などの添加物を使用しているもの等はなるべく避け、果物や牛乳を原料としたものをあたえた方がよいでしょう。
食習慣について
虫歯になりにくい強い歯をつくるには、毎日の食習慣や生活習慣が重要となります。
歯の健康と体の健康は密接な関係があります。栄養のバランスのとれた食事をしましょう。
歯によい食べ物
- 魚、肉、卵、大豆など(主にタンパク質を含む)
- 牛乳(乳製品)、小魚、海藻(主にカルシウムを含む)
- 緑黄色野菜(主にカロチンを含む)
- その他の野菜(主にビタミンCを含む)
- 米、パン、イモ、めん類(主に炭水化物を含む)
- 種実、油脂(主に脂肪を含む)
虫歯は特定の食べ物や、飲み物のせいではありません。
一般的に言われている歯に悪いもの(お菓子やジュース)でもきちんと間隔をあけて、一定の時間に食べて、しっかりと歯みがきができていれば特に問題はありません。
しかし不規則に、あるいはたえず口の中に食べ物や、飲み物を入れている場合は虫歯になりやすい状態をつくってしまうので気をつけましょう。
1~6までの食品を組み合わせて、1日30種類くらいとることを目標にしましょう。
8020運動のすすめ
最近の統計では親知らずを除いた上下28本の歯のうち、50代で20本、70代で10本、80代で4本の歯しか残っていないという結果も出ています。
歯は健康を維持するためにはとても重要なはたらきをしているので、歯がなくなれば当然、体も弱くなっていきます。
そこで厚生省では80歳まで20本の歯を残しましょうという「8020運動」をすすめています。
歯を維持することの効果
歯がしっかりと残っていれば、たべものを良くかむことができます。良くかむことで次のような効果があります。
- 唾液の分泌を高め、たべものの消化吸収を助けます。これにより胃腸に負担をかけなくなります。
- 唾液成分の中には発ガン物質の発ガン性を抑えるはたらきがあるため、ガン予防にもなります。
- 頭のはたらきを良くするため、ボケ防止になります。ほかにもいろいろな良い効果をもたらしてくれます。
「8020」でいう歯は、健康な自分の歯でなければ絶対いけないというわけではありません。
詰め物や精度のよい入れ歯などで処置してあればよいのです。
きちんとものが良くかめるというのが重要です。虫歯や歯周病を放っておくことや、 不完全な詰め物や入れ歯、また年だからしょうがないとあきらめるのが一番いけないことです。
喫煙と口腔の健康
喫煙習慣が自分の健康だけでなく他人の健康も害する可能性を持ち、さまざまな全身疾患の発症や進行に関連することが知られています。
また、喫煙はお口の中にもさまざまな問題を起こします。
喫煙と口臭
タバコ特有の臭いと後で述べる歯周病の進行からくるにおいと混ざり合い、いわゆるオヤジくさい臭いの原因になります。
喫煙と歯周病(歯槽膿漏)
- 喫煙は歯の汚れを付きやすくする
- 歯周病にかかる確率を高くする
- 歯周病をより進行させる
- 歯周病の本当の病態を隠す
- 治療した所の治り方を遅らせる
タバコの煙はお口に吸い込まれて、まず歯と口腔粘膜に接します
- 歯の表面に付いたタールは歯の表面をざらざらにして、プラーク(虫歯や歯周病原因菌の塊)を付着しやすくします。
- ニコチンは血管を収縮させる作用があるため歯周病の症状である出血や発赤を隠してしまい、知らないうちに歯周病を進行させます。
- ニコチンは歯根面によく付着する性質のため、ある程度歯周病が進行した患者さんの根の深いところに影響を与えます。
このようにタバコに含まれる成分が免疫作用を傷害しその機能を低下させます。これら全体の相互作用で歯周病を悪化させるのです。
タバコをすっていると歯槽骨の喪失が一層早まります。また、骨粗鬆症を促進する原因のひとつにもなります。
喫煙とお口の中
- 線維質でロール状になった歯肉
- メラニン色素が沈着し暗い色の歯肉
- 歯の周囲の着色
- 発赤出血といった症状の隠れた歯周病の進行
また、タバコにより舌の舌乳頭が増殖したり舌苔も付きやすくなり、味覚異常を起こします。
喫煙と口腔がん
長期間の喫煙により口腔がんの発生率が2倍以上になることがわかっています。
喫煙によるお顔の変化
タバコを吸う人の顔はしわがひどくなり白髪も増え、実際の年齢よりも老けて見えます。
このような顔つきを喫煙者顔貌といいます。いつでも美しくありたいと思うなら少なくともタバコを吸わないことです。
非喫煙者に比較して1日20本吸う人のデータでは、喉頭がんは33倍、肺がんは7倍、歯周病は5倍かかりやすくなります。
また、体の寿命も歯の寿命も10年短くなります。
まずはタバコの害を知って禁煙への近道としていただきたいと思います。
参考文献:喫煙とお口の健康 鴨井久一監修 クインテッセンス社
タバコをやめよう 石井正敏著 砂書房